

e-Taxによる申告手続が、来年からより便利になるようです。
平成 31 年1月から e-Tax の利用手続が より便利になります – 国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/kojin_e-tax_riyou2.pdf
【平成31年1月開始】e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています
http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_290510_kanbenka.htm
具体的には、以下の方式のいずれかによる申告が可能になります。
もっともID・パスワード方式はあくまで暫定対応のようで、原則はマイナンバーカード方式になります。
電子申告普及に向けて当局もがんばったと思いますが、多少なり注文をつけるならば以下のように考えます。
なにより、これだけマイナンバーカードが普及していない現状では上記の改善は限定的な効果しか見られないと思われます。これは税務当局の責任ではないかもしれませんが、マイナンバー通知カード「だけ」(本人確認手続が必要になりますが)で手続が進むように制度設計してしまい、そのように運用されているのがすべての失敗の原因と言えるでしょう。マイナンバーカードなしには手続が進まないぐらいに推進してもよかったように今にすると悔やまれます。ともあれ、電子申告が簡便な手続で完了する世の中になるのはまだまだ先のようです。
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経営財務No.3359の記事より。
法務省・法制審義会「「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」(平成30年2月14日)の取りまとめ
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900348.html
この試案のなかで、株主総会資料を原則として書面で提供するルールが変更され、電子的に提供することが可能になっていくようです。
従前 原則として書面で提供、株主の個別承諾が必要
↓
今後 ウェブサイトに掲載し、株主の個別承諾がなくても株主総会を適法に提供したものとする
上場企業には義務づけられるそうなので、決定すれば一気に普及することになりそうです。他方、ネットに接続できない環境にある株主に等しく提供するためには書面の提供は残ると思われますが、紙を前提とした制度が徐々にとはいえ変わっていく状況は歓迎したいところです。
また、招集通知の発送期限として
の3案が検討されており、今のところ現行に近いC案が有力とのことです。せっかく電子化されるのだから後ろ倒しにする案はないかとも思いますが、準備の期間を考えると2週間程度が現実的なのかもしれません。
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決算発表ピークの季節が到来しています。
取引所の規則としていわゆる「45日ルール」が定められていることで、3月決算の会社はゴールデンウィークは存在しないものとして休日返上で過ごすのが通例になってしまっています。監査する立場の監査法人もまた同様です。(関係者の皆様大変お疲れ様です)
決算短信・四半期決算短信等作成要領
https://www.jpx.co.jp/equities/listed-co/format/summary/tvdivq0000004wuh-att/tvdivq000000up10.pdf
事業年度又は連結会計年度に係る決算については、遅くとも決算期末後45日(45日目が休日である場合は、翌営業日)以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当であり、決算期末後30日以内(期末が月末である場合は、翌月内)の開示が、より望ましいものと考えられます。
ルールはこのとおりなのですが、素朴な疑問としてこの45日ルール、営業日ベースで考えるわけにはいかないのかと思います。たとえば今年(2018年)の場合計算してみると
となります。さすがに開示まで年度末から2ヶ月以上空くのは迅速な開示とはいいがたく、有価証券報告書の開示タイミングとも近くて実務上も都合が悪そうなことはわかります。とはいえ、これだけ労働時間の削減が社会問題化しているなか、業務効率化だけで決算業務の集中時期を乗り切るのが困難なことは明らかです。たとえば「30営業日」を目安として、その範囲で作業が収まるように開示の量や質を削減するといった工夫が求められるのではないかと思います。開示の一元化や単体開示の省略といった合わせ技も有効です。(こちらはこちらで検討が進んでいますが)
45日ルールは長年にわたり取引所の決め事でして運用されているので実際に変えるのは難しいとは思いますが、つい所与の条件として受け入れてしまいがちですが、そもそもの話に立ち返って考えてみるのも大事かと思いあえて制約を外して考えてみました。
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会社設立のスピードが一気に速まりそうです。
会社設立「10日→1日」で可能に 簡素化で起業促す(要ログイン)
https://www.asahi.com/articles/ASL4Y52PXL4YULZU004.html
私も10年以上前に自分の会社を設立したときは定款認証のために公証人役場に出向きました。公証人が席を外しているときも、机の上に(捺印済みの)認証済み書類(A4一枚)が山積みだったことを鮮明に覚えております。書類を機械的に発行するだけの業務でなぜ公証人が常にいなければならないのか今もって理解できませんが、当時も今もそういった制度なのでしょう。
こういった行政手続が簡素化されてスピードアップが図られること自体はよいことでありますが、事業開始のフロー全体を見渡すとまだまだ一部分しか改善されていないなと思います。というのも、実際に会社が機能するためには
と、設立以後も事務作業が山積みであり、これらを順調にクリアしてもだいたい一ヶ月ぐらいは煩雑な事務作業に追われるというのが現状かと思います。諸手続をワンストップで提供するサービスも出ていますが、どうしても行政ルールに引きずられるのでオンラインで完結というわけにはいきません。そういう意味では「設立手続の高速化」のみならず「事業開始の高速化」が求められているのではないでしょうか。
現在は法人番号の付与という形で行政側での一元管理が可能になったことですし、マイナンバーで名寄せもできます。これらの煩雑な手続のためにいちいち走り回らなくてすむ仕組みを一日も早く確立してもらいたいと思います。
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経済産業省が公表している「システム監査基準」「システム管理基準」が改訂されました。今回は約14年ぶりの大幅改訂になります。
「システム監査基準」及び「システム管理基準」の改訂について
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/sys-kansa/h30kaitei.html
今回の改訂のポイントは大きく3点あります。
- 従来のシステム管理基準においても、「ITガバナンス」の概念や業務継続計画について定めていましたが、その公開後、「ITガバナンス」についてのJISQ38500や業務継続についてのJISQ22301等の国際規格が成立したため、これらの国際規格との整合性をとるとともに、米国におけるITガバナンスの規格であり、国際的に影響力を有するCOBIT等の内容を踏まえた見直しを行いました。
- 従来のシステム管理基準では、企画、開発、運用及び保守という概念を前提としたウォーターフォール型のシステム開発を前提としていましたが、短期間での反復した開発を行うアジャイル型のシステム開発における取扱いについても管理策として含め、また、クラウドの利用等を念頭に置いた、整理等の見直しを行いました。
- 従来のシステム監査基準及びシステム管理基準は、項目の詳細についての説明がなく、運用において、各項目の内容を解説した資料を参照することが必要となっていたため、今回の見直しにより、システム監査基準には「主旨」及び「解釈指針」を、システム管理基準には「主旨」及び「着眼点」を併せて記載することにより、基準の記載内容に基づく運用が行いやすくなるよう見直しを行いました。また、システム監査基準において、実務への適用を踏まえて監査実施の流れに沿った構成の見直しを行いました。
IT投資に関するパートを抜粋引用します。
5. 情報システム投資の評価・指示・モニタ
3.情報化投資(6)
(1) 経営陣は、情報システム投資計画を経営戦略との整合性を評価して策定すること。
(2) 情報システム投資計画の決定に際して、経営陣は、影響、効果、期間、実現性等の観点から複数の選択肢を評価すること。
(3) 経営陣は、情報化投資に関する予算を適切にモニタしていること。
(4) 経営陣は、情報システム投資の方針及び確保すべき経営資源を明確にすることと、その投資状況及び経営資源の状況をモニタリングしていること。
(5) 経営陣は、情報システム投資に関する投資効果の算出及びリスク算定の方法を明確にしていること。
(6) 経営陣は、情報システムの全体的な実績及び個別プロジェクトの実績を財務的な観点からモニタリングして、問題点に対して対策を講じること。
(7) 経営陣は、投資した費用が適正な使用であったかについてモニタリング及び評価をすること
「執行」「評価」「確認」といった文言が「モニタリング」という文言で統一されているほか、「全体最適化計画」に関する記述が文書全体にわたって見直されています。
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新しい収益認識基準について。エントリの続きです。

包括的な収益認識の基準が導入されることにともない、ソフトウェアの会計処理や工事進行基準への影響があります。具体的には以下の基準等が廃止される予定です。
詳細については基準本文をご参照ください。
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2018/2018-0330.html
基準38項の記述を引用します。(太字は筆者)
以下のいずれかを満たす場合、「一定の期間にわたり」履行義務を充足し収益を認識する。
1. 便益を享受する企業が顧客との契約における義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受すること
2. 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、資産が生じる又は資産の価値が増加し、当該資産が生じる又は当該資産の価値が増加するにつれて、顧客が当該資産を支配すること
3. 次の要件のいずれも満たすこと
(ア) 企業が顧客との契約における義務を履行することにより、別の用途に転用することができない資産が生じること
(イ) 企業が顧客との契約における義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有していること
具体的には、適用指針の[設例4][設例7][設例8]に解説があります。ここでは[設例7](コンサルティング・サービスを提供する契約)の記述を援用します。
[設例7]では、以下の判定基準により「一定の期間にわたり」履行義務を充足するものとしています。
いわゆる役務提供型のサービスについては、この38項の適用を検討するのが基本パターンということになりそうです。
IT企業向けに「収益認識基準はここだけ読んでおこう」というポイントをまとめました。以下リンクより無料で入手できますので、お気軽にお申込みください。
(別サイトに移動します)
※本エントリの記載内容は、作成日時点における法令・基準に基づくものです。記載内容に基づく構築・運用に際して当事務所は一切の責任を負いませんので、予めご了承ください。

当社ではIT投資にまつわる多面的なコンサルティングを実施しております。今回はそのようなIT投資評価の代表的なフレームワークである「Val IT」(ヴァルアイティと読みます)について概要を解説します。
(「はじめに」より)
本書は、企業がIT投資による価値を最適な形で実現することを支援するために、ITガバナンス協会(ITGI)が推進している、Val ITイニシアチブの一環として作成されたものである。実務に携わる関係者や研究者から成るグローバルチームが培った、さまざまな経験をはじめ既存のあるいは新たな手順や手法を活用し、また急速な勢いで発展しつつある一連の研究結果を踏まえたイニシアチブにより、Val ITフレームワークが策定された。これは、一連の基本原則と、この原則に準拠した一連の重要な管理施策として詳しく定義された、いくつかのプロセスから成る、ガバナンスフレームワークである。
ValITフレームワークは、IT関連の投資に基づいた事業価値の創出を支援する、実践に即して体系化された包括的な枠組みである。COBITとの整合性を維持し、これを補完する目的で策定されたValITには、取締役会、経営幹部チーム、その他の企業の指導者層が、IT投資による価値の実現を最適化できるように、実践に即した実証済みのガバナンス原則、プロセス、施策、およびこれらを支援するガイドラインが統合されている。
抽象的な表現ではありますが、IT投資をビジネス価値につなげていくためのフレームワークとして策定されたのがVal ITです。Val IT フレームワークは2010年2月が最終更新となっており、日本語版はこちらから入手できます。(ダウンロードには登録が必要です)
http://www.itgi.jp/download.html
Val IT フレームワークの原文など、オリジナルのリファレンスはこちらです。
http://www.isaca.org/knowledge-center/val-it-it-value-delivery-/pages/val-it1.aspx
Val IT フレームワークは、以下の3つのフレームワークから構成されます。
以下、詳細について解説していきます。
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日本公認会計士協会より、以下の文書が2018年4月6日に公表されました。
プレスリリース「「監査・保証実務委員会研究報告第32号「内部統制報告制度の運用の実効性の確保について」」の公表について」及びプレスリリース「「社員ローテーションに関するアンケート調査結果(中間報告)」の公表について」
https://jicpa.or.jp/news/information/2018/20180406iii.html
内部統制報告制度の開始から10年を経過した現段階において
近年の内部統制報告書における開示すべき重要な不備の事例分析を糸口に、内部統制報告制度の運用状況に関する留意点を抽出し、そこから内部統制報告制度の実効性を確保するための提言を試みる
という趣旨の文書で、60ページにわたります。特に興味深い記述は
3.新興企業における内部統制
4.ITの利用及び統制
の2箇所で、それぞれのサマリーは以下のとおりです。
新興企業における内部統制
特に「コーポレート・ガバナンスの強化」の観点では、以下のリスクがあります。
社歴が浅い企業や社長が創業者であり筆頭株主である企業においては非常に重要なことであるが、取締役・監査役の選任は社長による人選を反映したものとならざるを得ない環境にあるので、社長のガバナンス意識に大きく左右されてしまう。
ITの利用及び統制
文書の大半は監査人向けの記述ですが、作成者(会社側)にとっても示唆に富んでいますので、ぜひ一読いただければと思います。
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ブロックチェーンをとりまく状況について、多くの刺激を受ける一冊でした。
本書の構成は冒頭の未来SF風ストーリーをきっかけとして、近い未来に訪れる「貨幣経済の衰退」「専門分化の衰退」「国家の衰退」の可能性を分析しています。
【目次】
プロローグ――貨幣経済は衰退しました
第1章 ブロックチェーンって何だ?
注目されるブロックチェーン
ブロックチェーンとブラウン管は似ている?
「証明」の手段としての新聞――すべてはタイムズ紙の見出しから始まった
ビットコインの「問い」と「補題」 ほか
第2章「信用」の歴史――口約束から契約へ、契約からコードへ
心の理論
原始の約束
全体主義的農耕の始まり
職業人という名の奴隷 ほか
第3章「信用」と「裏切り」――ビザンチン将軍問題をめぐって
ビザンチン将軍問題の背景
ビザンチン将軍問題とはどんな問題か
ビザンチン将軍問題を解く ─ 司令、攻撃やめるってよ ほか
第4章 ブロックチェーンの可能性と不可能性
応用可能性が花開いた
続々と行われる実証実験――醒める狂騒
人類史に残る新しい会社の出現
地球規模オペレーティングシステム ほか
第5章「信用」の新世紀 ─ 社会はどこに向かっていくのか
「貨幣経済は衰退しました」のリアリティ
貨幣と会計の変化
「貨幣」と「専門分化」と「国家」が三つ巴で衰退する
限界費用ゼロかつ専門未分化社会の衝撃 ほか
エピローグ――フレンズ
特に「貨幣経済の衰退」の可能性はにわかにイメージしがたいところですが、著者の主張としては「物質・エネルギー」と「知識」を変数として富を最大化することができるという点にあり、これを社会インフラとして今後どのように実現していくか(実現しようとしているか)、そこにブロックチェーン技術がどのように使われていくのかという未来予測は非常に興味深いです。ビットコインの普及はそのような時代のスタート地点に過ぎないのかもしれません。
そのような時代になったときに「会計」の機能がどのように位置づけられるかについて、著者はこのように主張します。
旧来のアカウンティングが、企業の事業活動を定量的にモデル化した情報を提供、あるいは分析するためのプロセスだったとするならば、これからのそれは、地球規模OS上のアプリケーションの動作状況を定量的にモデル化し、その情報提供と分析とにより社会にフィードバックをかけるプロセスであると言えるだろう。
しかし、そうした活動の様子は、どのように定量化できるのだろうか。 問題を、私たちの社会の「富」の量や質がどのように推移しているのかを定量的に把握することだと置き換えて考えれば、すでにフラーによる富の定義によって道は示されている。すなわち、「物質・エネルギー」および「知識」を定量化し、その推移を追跡・分析するのである。それが未来の新しいアカウンティングの姿だろう。
斉藤賢爾.信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来(NextPublishing)(Kindleの位置No.2048-2055).インプレスR&D.Kindle版
500年続いた会計機能の位置づけが大きく転換期を迎えるのかもしれないと思うとわくわくします。本書で随所に参照されていた「負債論」もだいぶ昔に購入して積読状態ですが、がんばって読んでみたいと思います。
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【目次】
プロローグ――貨幣経済は衰退しました
第1章 ブロックチェーンって何だ?
注目されるブロックチェーン
ブロックチェーンとブラウン管は似ている?
「証明」の手段としての新聞――すべてはタイムズ紙の見出しから始まった
ビットコインの「問い」と「補題」 ほか
第2章「信用」の歴史――口約束から契約へ、契約からコードへ
心の理論
原始の約束
全体主義的農耕の始まり
職業人という名の奴隷 ほか
第3章「信用」と「裏切り」――ビザンチン将軍問題をめぐって
ビザンチン将軍問題の背景
ビザンチン将軍問題とはどんな問題か
ビザンチン将軍問題を解く ─ 司令、攻撃やめるってよ ほか
第4章 ブロックチェーンの可能性と不可能性
応用可能性が花開いた
続々と行われる実証実験――醒める狂騒
人類史に残る新しい会社の出現
地球規模オペレーティングシステム ほか
第5章「信用」の新世紀 ─ 社会はどこに向かっていくのか
「貨幣経済は衰退しました」のリアリティ
貨幣と会計の変化
「貨幣」と「専門分化」と「国家」が三つ巴で衰退する
限界費用ゼロかつ専門未分化社会の衝撃 ほか
エピローグ――フレンズ
特に「貨幣経済の衰退」の可能性はにわかにイメージしがたいところですが、著者の主張としては「物質・エネルギー」と「知識」を変数として富を最大化することができるという点にあり、これを社会インフラとして今後どのように実現していくか(実現しようとしているか)、そこにブロックチェーン技術がどのように使われていくのかという未来予測は非常に興味深いです。ビットコインの普及はそのような時代のスタート地点に過ぎないのかもしれません。
そのような時代になったときに「会計」の機能がどのように位置づけられるかについて、著者はこのように主張します。
旧来のアカウンティングが、企業の事業活動を定量的にモデル化した情報を提供、あるいは分析するためのプロセスだったとするならば、これからのそれは、地球規模OS上のアプリケーションの動作状況を定量的にモデル化し、その情報提供と分析とにより社会にフィードバックをかけるプロセスであると言えるだろう。
しかし、そうした活動の様子は、どのように定量化できるのだろうか。 問題を、私たちの社会の「富」の量や質がどのように推移しているのかを定量的に把握することだと置き換えて考えれば、すでにフラーによる富の定義によって道は示されている。すなわち、「物質・エネルギー」および「知識」を定量化し、その推移を追跡・分析するのである。それが未来の新しいアカウンティングの姿だろう。
斉藤賢爾.信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来(NextPublishing)(Kindleの位置No.2048-2055).インプレスR&D.Kindle版
500年続いた会計機能の位置づけが大きく転換期を迎えるのかもしれないと思うとわくわくします。本書で随所に参照されていた「負債論」もだいぶ昔に購入して積読状態ですが、がんばって読んでみたいと思います。
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