

2018年12月14日に、平成31年度(2019年)税制改正大綱が公表されました。
改正ポイントは数多くありますが、ここではIT投資やベンチャー関連での改正点(研究開発税制の見直し、中小企業投資促進税制など)を中心にまとめます。(ページ数は公表PDFにおけるページを表示しています。ハイライト部分は投稿主によるもの)
以下、国税の改正点です。
以下、地方税の改正点です。
長くなったので、続きます。
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セミナー登壇は久々になります。今回はAIと経理業務の関連について3時間お話させていただきます。
万障お繰り合わせのうえ、ご参加いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
開催概要:
金融ファクシミリ新聞社 第 3817 回セミナー
タイトル:
AIを活用し経理業務を「データサイエンス業務」に変革するためのポイントと実務
-経理人材が今後目指すべき方向性を提示-
日時:
2019年01月15日(火) 13:30~16:30
URL:
https://www.fngseminar.jp/seminar/index.php?p=detail&num=3817
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年末調整シーズンに突入しましたが、早くも疲弊気味です。
さて、こちらのエントリが注目されています。
今年からの年末調整がどれだけエグいか、みんなに分からせる
http://nots.hatenablog.com/entry/2018/11/29/120000
計算構造の煩雑さもさることながら、記載例のExcelシートはExcel方眼紙で、もはや年末調整業務はかかわった誰もが不幸になる地獄のような作業になっています。
平成30年分配偶者控除等申告書入力ファイル(Excel方眼紙)がいろいろ酷い
http://harakancpa.com/blog/?p=1053
こちらのエントリでも書きましたが、個人的には「源泉徴収は賛成、年末調整は廃止すべき」という意見でございます。
源泉徴収や年末調整は納税者自身でやるべきか?
http://harakancpa.com/blog/?p=511
源泉徴収制度自体は広く定着していますので、いまさら廃止してしまうと大きな混乱が出る点、徴税の仕組みそれ自体としてはうまく機能している点を考えると廃止は好ましくないと考えます。
一方、年末調整制度については以下の理由で今すぐ廃止すべきではないでしょうか。
クラウド会計ソフトが個人の確定申告にブレークスルーをもたらし、e-Taxでの申告も普通の感覚になってきました。その結果、専門知識がなくても申告計算自体は容易にできるようになりました(手続が容易だとは言っていません)。いまこそ、行政や会社任せで自分の税額もわからない(わからなくてよい)という固定観念を変えるべき時期に来ているのではないでしょうか。行政はそのような転換は望まないでしょうが、会社側として本来必要ではない事務作業を今後も抱え込み続けるべきかどうか、真剣に検討するべきだと思います。
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本年度分(平成29年)の確定申告より、スマートフォン等でも申告作業ができるようになるそうです。
スマホ × 確定申告 スマート申告始まります!(国税庁)
平成31年(2019年)1月から、「確定申告書等作成コーナー」が変わります
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/smart_shinkoku/index.htm
説明を見る限りは、納得できない箇所もいくつかありますが。
1 スマートフォン専用の画面をご利用いただけるようになります
イメージ画面を見る限りでは、スマートデバイスに最適化された画面遷移が用意される模様。「提出できるようになります」とは書いてないので、作成の最終段階までスマートフォン等で進めて、最後はPCで送信か印刷という使い分けでしょうか。
2 デザインが変わります
これはとても大事。使う気にならないデザインでは話になりません。
3 e-Taxの利用手続がより便利になります
e-Taxの送信方式について、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の選択ができるようになります。
マイナンバーカードの浸透が不十分な状況への対応としてIDとパスワードで申告データを送信できるようになるそうです。マイナンバーカードの普及も袋小路に入った感があるので(誰も話題にしてないですし)これはこれで一歩前進なのですが、「ID・パスワード方式の届出完了通知」という書面を入手する仕組みとか、この書面を取得するために税務署に出向かなければいけないとかさまざまなトラップがあるので、マイナンバーカードの入手と手間はあまり変わらず同じ轍を踏むのではないかと不安になります。個人情報保護は大事なのですがもう少しなんとかならないものでしょうか。(ちなみにマイナンバーカードそれ自体は取得すれば行政手続でいろいろ便利なので、ぜひ取得することをおすすめします)
確定申告書等作成コーナーのウェブサイトはいろいろと利便性の悪い自治体サービスの中でもかなり使いやすく設計されているので淡く期待したいと思うものの、結局多くの納税者の方が大量の資料を抱えて税務署のPCで申告書を作成し、紙で提出するおなじみの光景が今年も主流になるのではないかと予想しています。
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次回の年末調整・確定申告より配偶者控除の仕組みが大きく変わりますが、それに先立って「配偶者控除等申告書」の様式が公表されております。
平成30年分 給与所得者の配偶者控除等申告書(入力用ファイル)
http://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_71_nyuryoku.htm
…いやな予感を感じつつ該当のExcelファイルを開いてみたら、案の定「Excel方眼紙」でした。(おすすめしませんが、興味のある方は該当ファイルを開いてみてください)
という、Excel方眼紙の要件(?)を全て満たしたすばらしい入力用ファイルでした(皮肉)。なおもうひとつの提出様式である「給与所得者の保険料控除申告書」の様式もExcelでなく入力可能なPDF形式でのみ提供されていて、いったい誰にどのような形式のデータを提出させたいのかがまったく理解できません。(おそらくは「納税者全員」に「紙」で提出させたいのでしょうか)
この書式が公開されることのメリットは果たしてどこにあるのでしょうか。納税者(従業員)は使いにくいシートをいやいや入力して提出し、とりまとめ担当者は再利用できないシートをすべて印刷して別途入力する羽目になり、関係者全員が不幸になるばかりかどこにも合理化の余地がありません。あえていえば「配偶者控除の金額を自動計算できる」のがメリットですが、逆に言えばそれ以外の入力データは再利用できないただのデータです(別途再入力が必要)。入力シート自体もパスワード保護されているため計算式を参照することもできず、このシートを入力後に再利用することは不可能です(計算ロジックは公開されているのに、計算式を隠すことを守りたいのか不明です)。結果的に「担当者ががんばって様式を作った」以外に何も価値がないと言っても過言ではなく、本様式が公表されること自体価値が感じられない「作業のための作業」だと判断します。
Excel方眼紙の何が悪いかは各所で語られるところですが、たとえば
などがあります。特にExcel方眼紙はスプレッドシートの機能をほとんど使わず紙の代替として使われることが多いため、入力したデータの加工や再利用がしにくいという点で致命的な欠陥があります。
改善案として以下のような対応が考えられます。
バックオフィスの生産性向上や合理化が巷間で叫ばれるなか、年末調整業務はどうも合理化の方向には動かないようです。クラウドサービスで必要項目を画面から入力するようサポートする動きはありますがまだまだ主流とは言えません。結局、今年もお客様には「紙」に「手書き」での提出をお願いすることになりそうです。年末調整にしても確定申告にしても呪われたような「紙」の取り回し業務からそろそろ解放されたいところなのですが、このようなどん詰まりの状況はいつまで続くのでしょうか。
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旬刊「経理情報」2018年10月20日号(No.1526)に 記事
『リスク対応や内部統制への影響は? 経理部門でテレワークを導入する勘所』
を寄稿しました。
テレワークと内部統制の関係とユーザー企業の対応ポイントについて解説しています。
ご一読いただければ幸甚です。
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本記事へのご意見・ご感想

三連休の終わりということで、休日のメール対応についての話題です。
この連休中にも仕事関連のメールを何通か受信したのですが、返信は休み明けにすることにしています。業務時間外に受診したメールについては緊急時を除いて暦上の休日には返信しないようにする自分ルールによるものです。このようにしている理由としては
というもので、長年の試行錯誤でこのような方法に落ち着きました。もちろん緊急度が高い場合は別で、その場合は曜日時間帯関係なく速やかに返信しております。
さて、業務メールという話題ではこんなニュースが流れてきました。
日本人には合わない? フランスに続きNYも協議する「勤務時間外メール禁止法」
https://web.smartnews.com/articles/fhv2mdnX4h3
週末は送受信させないなど、勤務時間外は業務メールの使用を制限する試みです。物理的にメール送受信を禁止することで、必要のない過剰労働を削減することを目指しています。もっとも経営レベルではこういった取り決めにはあまり意味がなく、必要であれば24h/365dでの対応は必須ですので、あくまで従業員レベルでの過剰労働防止の施策として検討するべきテーマかと思われます。(そういえばいくつかの大手監査法人では深夜と週末にメールサーバを物理的に停止しているとききましたが、実務で混乱は起きてないののでしょうか)
思うに、おそらくこのような制度を従来型の労働スタイルをとる日本企業で導入してもなんだかんだと理由をつけて
といった抜け道を探すといった結果になるのが容易に想像できます(業務用のメールシステムが普及する過渡期において、個人使用のメールアドレスが代替手段として広く利用されていたのは記憶に新しいところです)。結局のところ、メールの使用を制限するという表面的な部分よりも、「業務時間内の過ごし方」「仕事の指示」「成果の評価」といった勤務スタイルの問題を解決しなければ、生産性の根本的な改善にはつながらないように思います。
当事務所では業務効率化を実現するためのIT環境整備のご相談も承っております。経理部門・会計事務所の方はお気軽にお問い合わせください。
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2018.09.19-21にバンコクで開催されたISACA(Information Systems Audit and Control Association) Bangkok Chapter主催のイベント “Asia Pacific Computer Audit, Control and Security 2018″(Asia Pacific CACS 2918)に参加してきました。年4回程度世界中で開催されていて、アジアではバンコクでの開催になります。
https://asiacacs2018.org/?cid=edmi_1231972
どういったイベントかというと、
The conference will cover topics such as Information System Audit & Assurance, IT Security & Cybersecurity, GRC and COBIT 5, Innovation and Emerging Technology, and Panel Discussion on General Data Protection Regulation (GDPR). We invite reputable, honorable speakers from all over the world to contribute their knowledges and experiences in this event. The event shall be conducted in English and the materials distributed in the event will be in English.
The theme of Asia Pacific CACS 2018 Conference is “Governance 4.0: Connected, Security and Privacy” reflecting the emerging significant governance issues concerning security and privacy in the connected digital business. The primary purpose of the ASIA Pacific CACS is to enable regional and international Information Systems researchers and practitioners to meet in an annual forum that maximizes the opportunity for the exchange of information and insights as well as for networking. Our audience includes executives, management and professionals in Strategy /Governance, Risk Management, Security, Audit/Assurance, Compliance.
といった内容で、IT監査・ITガバナンス・コンプライアンス・サイバーセキュリティが主なキーワードになります。特に昨今のテクノロジーの劇的な変化がこれらの領域にどれだけのインパクトを与えるかという点に興味を持ち、ワークショップも含めて参加してみました。
結論から書くと非常に良い刺激を受けました。実例が多く紹介されることも含め、「AI」「Robot」「IoT」といった最近のターミノロジーがどのように今後広がり、業務に影響を与えていくのか、そのリスクはどういったものかを多様なバックグラウンドを持ったスピーカーが話してくれて退屈させられません。
ワークショップは「Adopting GDPR Using COBIT 5」というタイトルで、最近ホットなGDPR(EU General Data Protection Regulation)に対して、COBIT 5のアプローチをどのように”adapt or adopt”していくのかという、非常にホットな内容です。ファシリテーターのTichaona Zororoさんは熱量の高いスピーチとかみ砕いた丁寧な説明で、知識面で出遅れがちだった私もなんとかついていくことができました。

こちらがTichaona Zororoさん。Auditing and Governance of Social Mediaというテーマでのプレゼンです。時々踊りながらしゃべるのがかわいい。
技術革新は想像以上のスピードで既存の仕事のスタイルや領域に影響を与えており、10年前の常識はすでの通用せず5年後には新しい常識が生まれている、そんなスピード感です。例によってどのセッションでも「AIが我々(IT Auditor/IT Governance Professional)の仕事を奪うのか」という視点でのプレゼンテーションが非常に多く、スピーカーのどなたかの発言にあった
Repetitive and structured tasks are no more value from a professional perspective.
というフレーズが印象に残りました。このイベントは非常に情報量が多く消化しきれてないのが正直なところで、今後の仕事に落とし込んでいかなければならないのですが、いずれにしても我々の仕事の領域では”unstructured tasks”に今後生き残るためのヒントがありそうです。
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経理業務を日々進めるうえでIT環境の整備は不可欠なわけですが、どういった環境が最適なのかは日々試行錯誤の連続です。
経理業務の特性として
といった特徴があるので、これらを踏まえての環境作りが求められます。
多くの企業はこの形態でしょう。作業そのものには支障はないですが、資料を見ながら仕訳を入力したりといった場面でときどきストレスを感じそうな環境です。
いわゆるマルチモニタ環境です。モニタは広ければ広いほど、多く使えれば使えるほど生産性は高いので、ノートPCの制限された画面内の作業に比べて利便性は上がるでしょう。特に資料を見ながらの入力作業が非常に効率的に行うことができます。
デスク作業に集中できる環境に加え、必要に応じてデータをタブレットで参照することができます。人に見せたり社内を動き回ったりするときには威力を発揮しそうです。
普段はデスク作業に集中でき、必要に応じて持ち歩くこともできます。タブレットで資料を閲覧しつつ入力作業に集中することもできるし、必要に応じてタブレットで証憑書類の撮影保存もできるので、今のところこれが最適な環境に思えます。(ノートブックは15インチサイズでテンキー付属のモデルだとより快適)
もっとも、こういった作業環境を活用するためには「証憑など業務データが電子化されていること」「業務データが一元管理されていること」といった環境面もクリアしておく必要があります。特に「紙の証憑書類」がボトルネックになるため、それらをスキャンして電子データに変換し、社内サーバやクラウドで一元管理するといった運用が不可欠になります。
ちなみに弊事務所の場合は以下のような環境で運用しております。
環境としてはそこそこ快適なものの紙証憑がボトルネックになり劇的な率化を実現できているとはいえません。より効率を高めるために、最適な作業環境を追求する日々が続きそうです。
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現在進めている仕事で、主に上場企業での経理業務のリモートワーク実施状況について調べています。しかし、経費精算のような現場からの申請と承認は普及していても、経理業務そのものがリモートワーク主体で運用されている事例はあまり見ることがありません。(あるとは思いますが)
よく話題になる営業・企画・開発業務のリモートワークと異なり、経理業務はリモートワークと親和性が低いと思われる点がいくつかあります。少し考えつくだけでも
といった点があります。特に会計データがこれまで集中管理されてきた歴史を踏まえると会計記録の分散管理という思考そのものがなじめないのかもしれません。もっともこれまでオンプレミスで管理されていた会計データが10年単位の時間を経て普通にクラウド上で取り回されるようになった状況を考えると、さらに常識は変化していきオペレーションの設計次第では経理業務の分散管理も容易に実現できるようになるのでしょう。
ブロックチェーンによる分散管理がなにかと話題ですが、個人的には現段階で総勘定元帳をとりまく会計記録にブロックチェーンが当てはまる気がしません。ブロックチェーンによる分散台帳が広く普及したとして、それらをどう運用するかというルール作りはさらに時間を要するでしょうし、実務の現場では試行錯誤が続く気がしております。
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